今週のお題「二十歳」
気づけば世の中に大人と子供がいた。
大人は大人として泥の中から産まれ、そのあたりでしばらく過ごしたのちに、やがて朽ちていく。
子供は子供として水底から這い上がり、そのあたりを歩いていたかと思えば、また水の中に沈んでいった。
それぞれはお互いまったく異なる種族であるかの如く、交わることがあまりないようである。
同じ平原に居合わせながらも大人は大人たちと、子供は子供たちとばかり生活をした。
しかし、どちらももちろんお互いの存在は目に入っている。道を歩くときはぶつからないように身をかわし、井戸の水を汲むときは一列に並ぶ、というように。
大人があるとき結婚することになった。周りは祝福した。おめでとう、あなたも今日から大人だ、と誰かが言った。ありがとう、と大人は礼を言った。
たまたま近くで見ていた道祖神が鼻で笑う。「大人になるもなにもないだろう。最初から大人なのだから」
子供があるとき子を生むことになった。周りが祝福する。おめでとう、これであなたも大人になる、と。本人は誇らしい様子だった。まだ目も開かないまるで小さなサツマイモのような子を胸に抱きながら。
それを眺めていた道祖神は再び鼻で笑った。「笑わせる。子供は子を持とうと、子供のままだろう」
ときおり、利害関係のぶつかり合いもある。
大人は大人同士、子供は子供同士、何か気に入らないことがあれば舌鋒鋭く、あるいは陥れる策を張り巡らせながら。
そのような中、幾年月だろうか。この世に現れて20年が過ぎると、何らかの変化があるのではと振り返ろうとすることがあった。大人も子供も同様に振り返ろうとするのだ。
昨日までの自分とはもう違う存在になる(べき)というフィクションを信じようとするらしい。
「かわらないかわらない」と道祖神は冷ややかであった。
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