先輩「帰りたい場所がひとつずつ消えていく」
後輩「え?」
先輩「生きるって悲しいね」
後輩「どうかしたんですか?」
先輩「帰りたい場所が消えていくって中島みゆきが歌ってた気がする」
後輩「それは最近?」
先輩「いや、けっこう前だったかな」
後輩「90年代くらいじゃないですか? 家なき子のドラマの数年前」
先輩「なんていう曲だろう?」
後輩「タイトルが思い出せないんですけれど。あ、それあれですよ」
先輩「あれ?」
後輩「たしか生まれてきたことを全力で肯定する曲の中のフレーズ」
先輩「そうだっけ。帰りたい場所が消えてくのに?」
後輩「でも、そこがサビじゃなかったでしょ」
先輩「サビは思い出せない」
後輩「揺らぐことのない人生はないのだからこそ、じゃあ何に価値を置くのかを思い出してってのがメッセージです」
先輩「なんでだろう、耳に痛いなぁ」
後輩「耳に痛いんですか?笑」
先輩「いっぱいある気がする。不安定そのものだもの。その不安定な中で失敗も数えられない」
後輩「それは中島みゆきも歌っていることです」
先輩「失敗、過ち、後悔、くやしさ」
後輩「ならば思い出してください」
先輩「え?何を?」
後輩「いや、生きるほんとの価値を。その歌のように」
先輩「う、うん。」