雛人形たち

今週のお題「雛祭り」

 

 

 

 

 

 

 雛人形の思い出がある。

 

 小学生の低学年の頃。

 

 まだ祖父母と一緒に暮らしていて、

 

 夜更け、祖母から好きに使っていいといわれた古い布を取りに、

 

 1階の和室に入った。

 

 和室には大きな雛飾りがあって何体も人形が並んでいた。

 

 当時(今もだが)、その一体一体の名称や役割をあまり理解していなかった。

 

 最上段が最も高位なのだろうというくらいの知識。

 

 私は翌日の図工の時間で使えそうな布生地を棚から選びだし、

 

 リビングに戻ろうとした。

 

 明日忘れないようにすぐ手提げに入れておこう、

 

 と私は思いながら、部屋の電気を消そうと、

 

 部屋の中をもう一度振り返ったとき、

 

 そこにあったすべての人形の顔が私の方向を向いていることを知って、

 

 その衝撃で私は気を失ったらしい。

 

 数時間後、母に揺り起こされた。

 

 あんたなんでこんなところで寝てるの?

 

 ちゃんとベッドで寝なさい、と、

 

 2階の部屋へ連れていかれた。

 

  

 翌朝になっても母や祖母に話せなかったのは、

 

 どうしてだかよくわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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